熱電対とは異なる金属線を接合すると、接合部に温度に応じた起電圧が発生するゼーベック効果を利用し熱起電力を測定することで温度を計測出来ることを利用しています(ゼーベック効果と呼ばれています)。極く細い線でもよく、センサ先端の熱容量が比較的小さいため変化しやすい温度の計測に向いています。
一般的にどの様な金属のカップルでも電圧が発生すると思われますが耐食性、価格、線加工性、耐熱性、温度測定範囲、発生起電圧の大きさ及びリニア特性、各種雰囲気下での安定性などから通常は以下の熱電対に限られます。(IEC,JIS,ANSI等ご覧ください)中でもK型熱電対が大半を占めています。
熱電対は形状から大きく分けると、先端部を保護管に入れたシース熱電対と先端部がむき出しで管に入れてない熱電対に分類できます。シース熱電対はさらに先端露出型、非接埋め込み型、接触埋め込み型の3種類に分類できます。
通常、シース熱電対はステンレス管等にセラミックス材(絶縁材)などを介して熱電対を入れて固定しており直線性、ホールド性、頑丈さに優れています。熱電対先端部埋め込み型は、一般にリスポンスは劣りますが、酸化雰囲気あるいは還元雰囲気にも耐え長寿命で、各大型プラントでは多数使用されています。
一方、むき出しの熱電対は一般に高リスポンスである点を生かして、各種の実験や詳細計測などに広く使用されています。
中でも、極細熱電対や極薄熱電対はきわめて高速で測定できますので、例えばエンジンの内部温度や火薬の爆発で膨らむエアバッグなど急激な温度変化を測定することが可能です。
1400℃以上の高温域を測定する場合、B型R型 S型等の白金ロジウム系の熱電対を使用することが多いですが、高価な為、測温部以外の低温部ではコスト上、熱電対材料と同等の能力を持つ熱電対補償導線を使用します。補償導線は一般的に太く、ノイズ防止上の観点からも多く使用されています。
なお、熱電対線は細いほどノイズの影響を受けやすく、これまでの経験上、ノイズは宇宙からくるノイズの他、モーターからも放射されているようです。
また、電磁調理器では、すさまじいノイズがあり、ノイズの間隙で測定することもあります。
データロガーのアースを十分とることはもちろんのことですか、ノイズ防止上、100μ線径の場合2mまで、200μ径の場合10mまでとしています。この他、様々なノイズ対策があります。
これら熱電対の長所・短所を十分に把握し、最適の熱電対形状を選定する必要があります。測定対象物のサイズ、材質、予定最高温度、必要リスポンス、寿命等が判れば最適な熱電対の種類・形状を選定することが可能です。
熱電対は、温度測定結果に大きな影響を与えますので、取付方法も含め十分注する必要があります。